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お茶はなぜ緑色なのか

これはお茶の葉に含まれる葉緑素のクロロフィルの色なのです。クロロフィルは放っておきますと葉に含まれる酸化酵素の働きで酸化してしまい変色してしまいます。そこでお茶を作るときに生葉を蒸気で蒸したり釜で炒ったりして熱を加えることにより、酸化酵素の働きが止まり、できあがったお茶が緑茶特有の緑色をしています。これを専門用語で「殺青」と言います。しかしその後の製造行程で熱や光に触れて除々に酸化が進み、クロロフィルの一部は褐色に変化してフェオフィチンに変化します。そのために仕上がったお茶は緑色より少し褐色かかった色になります。

 

一方、紅茶やウーロン茶を作るときは日本の緑茶のように殺青しませんので酸化酵素が働くために褐色のお茶になります。お茶を湯飲みなどに淹れた液体の色を「水色」と言います。「水色」は緑茶の品質を計る重要な要素の一つです。普通煎茶の水色は明るい黄緑色で澄んでおり、濃度を感じさせる物が良いとされています。黄色はフラボノールやフラボンの配糖体で緑色はクロロフィルの懸濁によるものです。深蒸し煎茶の水色は鮮やかな濃緑色をしていますがお茶の細かな粉末が溶け込んでいるため濁って見えます。お茶も熱や酸化などで劣化すると成分のカテキン類やクロロフィルが褐色に変化するため水色が赤めになります。もちろん赤い水色のお茶は品質的評価が下がります。

 

お茶の香りの成分は

お茶には300以上も香りの成分が有ると云われています。まだ全てが解明されていません。いろんな成分の香りが混ざり合って爽やかな香りを作っています。生葉には、緑の香りと云われる「青葉アルコール」など青臭い香りの成分が入っています。お茶の製造の工程でこの強い「青葉アルコール」の香りがなるくなり、また加熱によって「ピラジン類」が生じ煎茶特有の香ばしい爽やかなおだやか香りになります。玉露には良質の青海苔のような香りの成分の「ジメチルスルフィド」が多く含まれています。この香りは被覆栽培(日光を遮って栽培する)をする事で生まれてきます。「覆い香」とも云われます。

茶の香りと主な成分
香り 主な成分 香り 主な成分

若葉の爽やかな香り

青葉アルコール そのエステル類

木質系のにおい

4-ビニフェノール、セスキテルベン

スズラン様の軽く爽やかな花香

リナロール

青苦く重い香り

インドール

バラ様のあたたかい花香

ゲラニオール、フェネチルアルコール

青海苔様のにおい青海苔様のにおい

ジメチルスルフィド

ジャスミン、クチナシ様の甘く重厚な花香

シス-ジャスモン、メチルジャスモネート、ヨノン類

加熱により生ずる香ばしい香り

ピラジン類、フラン類

果実、特に桃様、乾果様の香り

ジャスミンラクトン、その他ラクトン類

保存中に増加する古茶臭

2.4-ヘプタジエナール